A 君 小学校6年生
ワーキングメモリトレーニングの結果報告
Aくん(〇〇年〇〇月生)は、ワーキングメモリトレーニングを〇〇年〇〇月〇〇日~〇〇年〇〇月〇〇日 の間に実施しました。また、Aくんは、トレーニングを25回中25回実施しました。お母様 がその間のトレーニングエイドでした。 トレーニングを5週間という短期間で終了されたことは大変素晴らしいことでした。
修了、おめでとうございます。
ワーキングメモリトレーニングについて
ワーキングメモリトレーニングとは、注意またはワーキングメモリにむずかしさをもつお子さんのために、ワーキングメモリの改善を目的としてデザインされたソフトウェアベースのトレーニングです。
査読(同分野の専門家によって研究の正当性を判定すること)を経た科学論文として発表された対照臨床試験(トレーニングを行ったグループと行わないグループによって厳密に因果関係と効果を臨床的に評価する研究)において、ワーキングメモリトレーニングの完了者のうち80%以上の方が集中力や複雑な推論能力において長期にわたって統計的に有意に改善したことが継続的に示されています。
トレーニングの結果
Aくんのトレーニング結果は、①ワーキングメモリのインデックス、②評価スケールによる保護者からの行動アセスメント、そして③ラップアップセッションで示されたトレーニング効果の3つの側面から説明することが出来ます。
ワーキングメモリ・インデックスとは
ワーキングメモリの容量は、トレーニング期間中に定期的にいくつかのエクササイズの結果をもとに計算され、ワーキングメモリ・インデックスとして示されます。ワーキングメモリの改善(インデックスの向上)は、トレーニングの開始時に計算されたインデックス(開始時のインデックス)とトレーニング期間中に得た最高のインデックス(最高インデックス)とを比較することで計算されます。ワーキングメモリトレーニングを完了した人の平均的な改善は23点です。ここで重要なことはインデックスは、ワーキングメモリを測定するための手段に過ぎず、日常生活場面で使われるワーキングメモリへの直接的なトレーニング効果に対応するものではないということを念頭においていただくことです。
Aくんの開始時と最高インデックス
Aくんのインデックスの変化
*
Aくんの開始時のインデックスは99点であり、同年代でワーキングメモリにむずかしさのない子どもより高いと考えられます。トレーニング期間中にAくんは、最高インデックスとして121点をマークし、これは、23点の向上となります。これはワーキングメモリトレーニングを受けた他の人と比べて素晴らしい改善であると考えられます。
評価スケールによる保護者の行動アセスメント
トレーニングの前後に保護者が、アンケートに回答することで、Aくんの不注意と多動性・衝動性の程度に減少が見られたかを査定します。その値が小さいほど、症状がより緩やかなことを示します。トレーニング効果を測定する方法の一つは、トレーニング後に記入された行動アセスメントとトレーニング前に記入された行動アセスメントを比較することです。症状減少の程度が大きいほど、トレーニング効果が大きいことを示します。保護者の回答の変化に加え、トレーニング効果におけるその他の側面、ラップアップ・セッションで示されたAくんと保護者からのトレーニングに対する意見も考慮にいれます。
変化の信頼性を保つために、Aくんの症状の評価は、ワーキングメモリトレーニングを実施してきた他の方々の変化と比較します。以下の表は、お子さんの結果をグループレベルで他の子どもの結果と比べた際に、ありうる変化がどの程度大きいのかを数値的に示したものです。
保護者の評価
事前・事後のアンケートの結果からは、注意に関して大幅な改善がみられました。 多動性・衝動性に関しては、もともと問題を感じていなかったため、変化はありませんでした。注意に関しての大幅な改善は、テストでのケアレスミスの減少につながっていると思います。
ラップアップ・セッションについて
トレーニングを終えて、インタビューの中でAくんは、「トレーニングは相当大変だったので終わって達成感を感じている!」、「好きだったエクササイズは入力モジュールロックで、回転データリングはやりにくかった」、「トレーニングが進むにつれトレーニングに慣れてきた」、など話しました。また、トレーニング前に比べて今の方ができることはありますかという問いかけに対して、「本を読むと読んだことが頭に入るようになった・授業中にボーとすることがなくなったし、テストにも集中できる・遊びをやるときに判断できるようになった」、と言っていました。
お母様は、「トレーニングは良かった」、「相当疲れるトレーニングだと思う」、「曜日を決めて子どもに無理のない日にトレーニングをやったので子どもも素直にやれたようだ」、など話されました。また、トレーニングの効果については、「理科や社会の暗記教科の成績が上がった、模擬テストで偏差値が35から56になった」、「Z会の漢字ドリルで変化が見える感じがする」、「11月3日に受けた全国模擬テストでケアレスミスがなく、今までで一番良い成績だった」、など具体的にお話し下さいました。
お子さんのワーキングメモリ改善について観察し続けてください
継続的な追跡調査の結果、25%の子どもは、トレーニング直後にはわずかな効果しか見られないと報告しています。ワーキングメモリのインデックスの改善はとても明白ですが、読解力、数学的な思考能力への汎化には更なる月日を必要とすることもあります。また、汎化したことに気づくのにも時間を必要とすることもあります。追跡調査の結果、トレーニング1年後においても、多くのお子さんがワーキングメモリと関連する異なるスキル・行動の改善を、経験し続けていることが報告されています。従って、トレーニング後も子どもの変化を注意して観察し続けることが重要です。例えば、子どもがどのくらいの間集中し続けられるか、学校でどの教科で成績を上げているのかなどです。加えて、新しい情報を吸収したり、衝動性を抑えたりなどといった集中力と関連のある行動にも注意して観察してください。
お子さんの新しいワーキングメモリの能力を維持しましょう
子どものワーキングメモリに改善が見られると、日常生活は、この改善した能力をより的確な方法で使う機会を提供してくれます。もし、子どもが突然、本を以前よりも少し速く読めるようになったら、読書は子どもにとってより楽しく、読書する機会も増え、またその時間も増えます。もし、子どもがすべきことを覚えておくことができ、その行動に対して肯定的なフィードバックを得ることが出来れば、子どもはあなたの指示をより積極的に聞くようになり、また課題をやり遂げることも可能となるでしょう。このように、日々の生活でワーキングメモリが鍛えられ、持続することを保証してくれます。大人として、あなたは子どもを手助けし、激励することができます。今後数ヶ月は、子どもに少し高いハードルに挑戦してもらうことをお勧めします。例えば、以前よりも少し長い指示を出したり、少し難しい本を与えたり、少し難しい算数の計算問題を与えたりです。より難しい課題に取り組めた際には、激励することや、子ども達の成果に対して十分なご褒美(報酬)を与えることを忘れないでください。このようにすることで、子どもが今回獲得したワーキングメモリを最大限に活かすことが可能になると確信しています。
まとめ
ワーキングメモリのインデックス、行動アセスメント、ラップアップセッションでのインタビューの結果、Aくんは確実にワーキングメモリの改善がみられました。25回のトレーニングの後半はとても集中力を必要とする課題で、大人の人でも投げ出したくなってしまいます。このトレーニングを短期間に最後までやり通しただけでもかなりの力、自信がついたのではないでしょうか。
トレーニング終了直後で行動変化が見られなかった時間の見積もり、例えば朝の支度が遅い・起床が自分でできないなども今後少しずつ改善がみられてくると思われます。
今後は、毎日の勉強や生活のなかでワーキングメモリを定着させていってください。
Aくんの成長を心から祈っております。
〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇
コグメド認定コーチ
トレーニング修了3ヶ月程の後、A君はエクステンション(延長)トレーニングを開始しました。エクステンションはトレーニングで改善したワーキングメモリを日常生活において維持することを助けることを目的としていて、本トレーニングよりも短い時間のセッションを1年間、100セッションまで利用できます。いま中学校1年生です。
Aくん 保護者様からのおたより
コグメド・ジャパン
〇〇 様
おひさしぶりです。Aの母です。現在延長を開始し、64回目まできました。
そこで質問させてください。現在中1の13歳になりました。インデックス数値が151にも急上昇しました(小6でトレーニング開始時99、終了時121)。入力モジュールに関しては14も出ています。あまりに高く成長しています。この能力は直接何に影響しやすいか教えて下さい。
ちなみに昨年のロボメモ終了くらいから、たどたどしい話し方がなくなり、会話が流暢になりました。
彼の成長は急成長で、ビックリしています。
昨年4月のWISC4検査では、IQ130という驚異的な数値がでました。(小2時期 WISC3で IQ 118)
(全IQ130 言語理解127 知覚推理132 ワーキングメモリー106 処理速度121)
単体のADDではなく、ADD傾向のあるギフテッドなのでは?と思います。
教えて下さい。よろしくお願いします。
〇〇
※保護者様のご了解をいただいて掲載しております。