B様 男性 26歳
ワーキングメモリトレーニングの結果報告
B様(26歳)、はワーキングメモリトレーニングを**-**の間に行い、完了しました。25セッションのトレーニング、本当にお疲れ様でした。お仕事との両立、本当に大変だったと思います。トレーニングでは、最初から最後まで熱心に取り組んでおられました。
トレーニングの結果
トレーニング結果は、①トレーニング・インデックス、②評価スケールによる行動アセスメント、そして③ラップアップ・セッションで示されたトレーニング効果の3つの側面から説明することが出来ます。
ワーキングメモリ・インデックスとは
ワーキングメモリの容量は、トレーニング期間中に定期的にいくつかのエクササイズの結果をもとに計算され、トレーニング・インデックスとして示されます。ワーキングメモリの改善(インデックスの向上)は、トレーニングの開始時に計算されたインデックス(開始時のインデックス)とトレーニング期間中に得た最高のインデックス(最高インデックス)とを比較することで計算されます。
7-17歳のワーキングメモリトレーニング完了者の平均的な改善は26点ですが、分布は広範で、通常は17-35点の間に位置します。18歳以上のトレーニング完了者の平均的な改善は25点で、通常は17-33点の間に位置します。ここで重要なことは、インデックスはワーキングメモリを測定するためのひとつの手段に過ぎず、日常生活場面で使われるワーキングメモリへの直接的なトレーニング効果に対応するものではないということを念頭においていただくことです。
B様の開始時のインデックスは94点であり、18歳以上でワーキングメモリにむずかしさのない成人の平均=100と比べるとやや低めな値でした。トレーニング期間中にB様は、最高インデックスとして111点をマークしました。これは、17点の向上となります。これはワーキングメモリトレーニングを受けた他の方と比べて平均的な改善であると考えられます。
評価スケールによる行動アセスメント
トレーニング前後でのアンケート調査より、不注意と多動性・衝動性症状の査定が行われました。その値が小さいほど、症状がより緩やかなことを示します。トレーニング効果を測定する方法の一つは、トレーニング後に記入された行動アセスメントとトレーニング前に記入された行動アセスメントを比較することです。症状減少の程度が大きいほど、トレーニング効果が大きいことを示します。回答の変化に加え、トレーニング効果におけるその他の側面、ラップアップ・セッションで示されたトレーニングに対する意見も考慮にいれます。
変化の信頼性を保つために、症状評価は、ワーキングメモリトレーニングを経験された他の方々の変化と比較します。以下の表は、他の18歳以上の方々と結果をグループレベルで比較して算出された症状改善程度を示したものです。
ご本人の評価合計点
(表の(○)印は、平均的な変化の度合いを示しています。)
B様のアンケートでは、主に、注意力に関する項目で変化がありました。現段階ではあまり実感がないとのことですが、スコアも伸びていますので、ワーキングメモリの定着によって、今後、生活での変化がさらに増えてくると考えられます。
ラップアップ・セッションについて
トレーニングを終えて、「最後は大変だったが、やってよかった。コーチがいるので、やらなきゃいけないと思えた」という感想をいただきました。お仕事にも集中でき、着実に終わらせることができるようになりました。トレーニングについては、途中、忙しくてトレーニングができないこともありましたが、最後まであきらめずにつづけたことが良かったと思います。B様には、次のような効果が見られました。
入力ミスが減った。
話の内容を意識しながら聴けるようになった。
仕事の進捗状況を途中で振り返れるようになった。
トレーニングをやり遂げたことも大きな自信になったことと思います。ワーキングメモリを定着させることで、さらにおおきな変化が出てくると思います。