KT君 5歳 男の子

ワーキングメモリトレーニングの結果報告

KTくん、**年**月生まれ、はワーキングメモリトレーニングを**年**月**日 – **月**日 の間に実施しました。また、KTくんはトレーニングを25回中25回実施しました。お母様 がその間のトレーニングエイドでした。

KTくんによると、もっとも好きなエクササイズは<かんらんしゃ>で、苦手なエクササイズは特に無いとのことでした。また、お母様によると、トレーニングであることを理解しながらとても楽しく取り組んでいたとのことで、KTくんも、毎回のトレーニングのときに、楽しいと言ってくれました。 そして、最後まで興味と意欲を失わず、やり遂げることができました。

トレーニングの結果

KTくんのトレーニング結果は、①ワーキングメモリのインデックス、②評価スケールによる保護者からの行動アセスメント、そして③ラップアップセッションで示されたトレーニング効果の3つの側面から説明することが出来ます。


ワーキングメモリ・インデックスとは

ワーキングメモリの容量は、トレーニング期間中に定期的にいくつかのエクササイズの結果をもとに計算され、ワーキングメモリ・インデックスとして示されます。ワーキングメモリの改善(インデックスの向上)は、トレーニングの開始時に計算されたインデックス(開始時のインデックス)とトレーニング期間中に得た最高のインデックス(最高インデックス)とを比較することで計算されます。ワーキングメモリトレーニングを完了した人の平均的な改善は23点です。ここで重要なことはインデックスは、ワーキングメモリを測定するための手段に過ぎず、日常生活場面で使われるワーキングメモリへの直接的なトレーニング効果に対応するものではないということを念頭においていただくことです。

KTくんの開始時のインデックスは59点であり、同年代でワーキングメモリにむずかしさのない子ども(5歳の世界の平均=55)と同等の範囲にあると考えられます。トレーニング期間中にKTくんは、最高インデックスとして79点をマークし、これは、20点の向上となります。これはワーキングメモリトレーニングを受けた他の人と比べて素晴らしい改善であると考えられます。

評価スケールによる保護者の行動アセスメント

トレーニングの前後に保護者が、アンケートに回答することで、KTくんの不注意と多動性・衝動性の程度に減少が見られたかを査定します。その値が小さいほど、症状がより緩やかなことを示します。トレーニング効果を測定する方法の一つは、トレーニング後に記入された行動アセスメントとトレーニング前に記入された行動アセスメントを比較することです。症状減少の程度が大きいほど、トレーニング効果が大きいことを示します。保護者の回答の変化に加え、トレーニング効果におけるその他の側面、ラップアップ・セッションで示されたKTくんと保護者からのトレーニングに対する意見も考慮にいれます。

変化の信頼性を保つために、KTくんの症状のアセスメントは、ワーキングメモリトレーニングを実施してきた他の方々の変化と比較します。以下の表は、お子さんの結果をグループレベルで他の子どもの結果と比べた際に、ありうる変化がどの程度大きいのかを数値的に示したものです。

保護者の評価

ご記入いただいた事前・事後の評価をまとめたところ,「多動性・衝動性」に関しては点数上変化は見られなかったものの,「注意」については,若干の改善がみられることが示されました。

ラップアップ・セッションについて

トレーニングを終えて、お母様からは、時々トレーニングをするのを忘れている時もあったが、特に嫌がることもなく、楽しんでやっているようなのでよかったとのコメントを頂きました。KTくん自身が興味を持って取り組んでいたようですが、お母様のお話からは、最後のほうは問題が難しくなったので、最初に比べてやや意欲が低くなり、それで、時々自分からやるのを忘れてしまったのではないかと感じられました。それでも、声をかけると嫌がらずに取り組めたとのことなので、最後までしっかりとがんばれたようです。また、お母様が「自分も楽しかった」と言ってくださったことは、コーチとしても嬉しいことです。

あなたのお子さんに見られたトレーニングの主な効果は、

○ 友だち関係の中で、がまんする、すぐに怒らない、「貸して」を言うなどができるようになり、社会性が高まった

○ 以前なら手が出てしまったような場面でがまんするケースが見られ、トレーニング前に比べ、手を出すことが若干減った

○ 人の話をよく聞き、言われたらすぐやるようになってきた

などです。