Uさん 女性 47歳

ワーキング・メモリートレーニングの結果報告

Uさん(47歳)はワーキング・メモリートレーニングを**-**の間実施し、25回のトレーニングを全て完了しました。

Uさんによると、得意なエクササイズは<数字>であり、苦手なエクササイズは<ツイスト>とのことでした。トレーニングは結構頭を使ったが楽しかった、大変ではなかったと言っていました。Uさんは、強い意志のもと、最後までトレーニングをやり遂げることができました。

トレーニングの結果

Uさんのトレーニング結果は、①ワーキング・メモリーのインデックス、②評価スケールによるご本人の行動アセスメント、③ラップアップセッションで示されたトレーニング効果の3つの側面からわかります。

ワーキング・メモリー・インデックスとは

ワーキング・メモリーの容量は、トレーニング期間中に定期的にいくつかのエクササイズの結果をもとに計算され、ワーキング・メモリー・インデックスとして示されます。ワーキング・メモリーの改善(インデックスの向上)は、トレーニングの開始時に計算されたインデックス(開始時のインデックス)とトレーニング期間中に得た最高のインデックス(最高インデックス)とを比較することで計算されます。ワーキング・メモリートレーニングを完了した人の平均的な改善は23点です。ここで重要なことはインデックスは、ワーキング・メモリーを測定するための手段に過ぎず、日常生活場面で使われるワーキング・メモリーへの直接的なトレーニング効果に対応するものではないということを念頭においていただくことです。

評価スケールによる行動アセスメント

トレーニング前後でのアンケート調査よりUさんの不注意と多動性・衝動性症状の査定が行われました。その値が小さいほど、症状がより緩やかなことを示します。トレーニング効果を測定する方法の一つは、トレーニング後に記入された行動アセスメントとトレーニング前に記入された行動アセスメントを比較することです。症状減少の程度が大きいほど、トレーニング効果が大きいことを示します。回答の変化に加え、トレーニング効果におけるその他の側面、ラップアップ・セッションで示されたUさんからのトレーニングに対する意見も考慮にいれます。

変化の信頼性を保つために、Uさんの症状評価は、ワーキング・メモリートレーニングを経験された他の方々の変化と比較します。以下の表は、他の18歳以上の方々と結果をグループレベルで比較して算出されたUさんの症状改善程度を示したものです。

ご本人の評価合計点

ご本人に記入いただきました事前・事後のアンケートの結果ですが、注意、多動性・衝動性のいずれの項目においても大幅な改善が見られました。

ラップアップ・セッションについて

トレーニングを終えて、Uさんは、「前半は大変だったが、後半はコツをつかめた。毎日自分なりの目標を持ってやれた」、「トレーニングをやっている時の方が何となく頭がクリアになった、すっきりしている気がした」、「トレーニングの満足度は80%くらい、もう少しやればできる気がする、もっとトレーニングが長ければよかったのに」、「自分は耳で聞く課題の方が得意なんだと分かった。4×4の位置を覚える課題では番号を振り覚えようと最初したが、途中でうまくいかないことに気づいてやらなくなった」、「成績のグラフは見ていた。朝やる方が成績がよいことをグラフで確認していて気づいた」、「また、忘れてしまうなぁと思うと3回口に出して言うようにしていた。口に出して言うことで大丈夫、できるという自信がついた」などUさんなりにたくさんのことを試してくださいました。また、「コツがつかめた」とおっしゃっていた通り、ご自身なりの理解と分析がなされていました。

Uさんに見られるトレーニング中の効果は、

運転が以前よりも少し上手になったこと

(運転中にはっとすることは未だあるが、少しよくなった気がするとのこと)

うっかりミスが以前よりも軽減したこと

自分なりにコツをつかむことができたこと

(コツをつかむことが自分は好きなんだなぁと感じた)

などです。