S様 男性 47歳

ワーキングメモリトレーニングの結果報告

S様(47歳)、はワーキングメモリトレーニングを**年 – **年の間に行い、完了しました。 25セッションのトレーニング、お疲れ様でした。お仕事などでお忙しい中でのトレーニング、本当に大変だったと思います。トレーニングでは、最初から最後まで間を空けることなく、熱心に取り組んでおられました。

トレーニングの結果

Sさんのトレーニング結果は、①トレーニング・インデックス、②評価スケールによる行動アセスメント、そして③ラップアップ・セッションで示されたトレーニング効果の3つの側面から説明することが出来ます。

ワーキングメモリ・インデックスとは

ワーキングメモリの容量は、トレーニング期間中に定期的にいくつかのエクササイズの結果をもとに計算され、トレーニング・インデックスとして示されます。ワーキングメモリの改善(インデックスの向上)は、トレーニングの開始時に計算されたインデックス(開始時のインデックス)とトレーニング期間中に得た最高のインデックス(最高インデックス)とを比較することで計算されます。

7-17歳のワーキングメモリトレーニング完了者の平均的な改善は26点ですが、分布は広範で、通常は17-35点の間に位置します。18歳以上のトレーニング完了者の平均的な改善は25点で、通常は17-33点の間に位置します。ここで重要なことは、インデックスはワーキングメモリを測定するためのひとつの手段に過ぎず、日常生活場面で使われるワーキングメモリへの直接的なトレーニング効果に対応するものではないということを念頭においていただくことです。

Sさんの開始時のインデックスは78点であり、18歳以上でワーキングメモリにむずかしさのない方と比べ、やや低い値でした。トレーニング期間中にSさんは、最高インデックスとして106点をマークしました。これは、トレーニングによって、平均的なワーキングメモリを獲得できたことを意味します。インデックスは28点の向上となり、ワーキングメモリトレーニングを受けた他の方の中で標準的な改善であったと考えられます。

評価スケールによる行動アセスメント

トレーニング前後でのアンケート調査より、Sさんの不注意と多動性・衝動性症状の査定が行われました。その値が小さいほど、症状がより緩やかなことを示します。トレーニング効果を測定する方法の一つは、トレーニング後に記入された行動アセスメントとトレーニング前に記入された行動アセスメントを比較することです。症状減少の程度が大きいほど、トレーニング効果が大きいことを示します。回答の変化に加え、トレーニング効果におけるその他の側面、ラップアップ・セッションで示されたSさんからのトレーニングに対する意見も考慮にいれます。

変化の信頼性を保つために、Sさんの症状評価は、ワーキングメモリトレーニングを経験された他の方々の変化と比較します。以下の表は、他の18歳以上の方々と結果をグループレベルで比較して算出されたSさんの症状改善程度を示したものです。

ご本人の評価合計点

(表の(○)印は、平均的な変化の度合いを示しています。)

トレーニング前後の自己評価では「注意」に関する項目で、大幅な改善がありました。注意力がアップしたことで、出かける準備、仕事などでずいぶん余裕が出てきたたことは大きな変化だと思います。「他動性・衝動性」については感情のコントロールにまだ波があるようですので、引き続き日常生活でもワーキングメモリーを心がけることによって、変化が出てくると思います。

ラップアップ・セッションについて

トレーニングを終えて、Sさんからは「やってよかった。前は気持ちばかりあせっていたが、今は落ち着いてうろたえなくなった。全体的に余裕が出てきた。」、「やらないと不安。定着のために、今後も続けたい。」という感想をいただきました。トレーニング中の変化として、次のような顕著な効果がありました。

    • 余裕が出てきた。

    • 探し物が減った。

    • 頭の使い方を考えるようになった。

このほかにも、物を探すことが減ったなど、いろいろな変化がありました。ワーキングメモリの定着によって、さらに生活での変化が出てきますので、今後は日常生活でワーキングメモリを使うよう、心がけてください。